活動報告:かつらお企画室「まだ私の中に微かに残る自然の記憶とそれを呼び覚ます香り」

11月24日(木)、群馬県六合(くに)村を拠点として活動中の、スパイス料理を媒介として文化と人をデザインする食空間プロデューサー「ヤマノタミ」こと古平賢志さんを講師としてお迎えし、ワークショップ「まだ私の中に微かに残る自然の記憶とそれを呼び覚ます香り」を開催いたしました。

会場となった葛尾村復興交流館あぜりあ 蔵 の入り口手前には、今回のワークショップに関するコンセプトテキストが設置されました。阿武隈山地の「ハヤマ信仰」からヤマに存在する生と死の循環、山の恵みを食すということの意味が示されます。

蔵に入ると、阿武隈の山で採取できる6つの素材が参加者を待っています。そのまま/火入れした状態/火入れして薬研で挽いた状態 の3段階で香りを体験したのちに、自分だけのスパイスミックスを調合。効能を詳しく知らなくても、いい香りだと感じるものを基本にブレンドすれば、自分自身の状態に合ったスパイスミックスができあがります。できあがったスパイスミックスは、塩と合わせてサラダに、砂糖と合わせてホットミルクに、さまざまなシーンで生活に取り入れることができます。

「普段の生活で1時間半も嗅覚を使い続けることはないですよね。このワークショップのあと、葛尾村の山々から感じる香りを一段と受け取ることができると思います」と語るヤマノタミ。人間が創り出す信仰や文化と、ただそこに豊かに存在する自然環境とが分かちがたく結びついていることを、スパイスを通して直感したひとときとなりました。